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住宅ローンの繰り上げ返済には、返済期間を短くする「返済期間短縮型」と返済期間は変更せずに、返済額を少なくする「返済額軽減型」のニタイプがある。

結論からいえば、いずれのタイプも、五年後、二〇年後、三〇年後に行ったとしても軽減効果はある。

それも早いほど軽減効果はより大きくなる(図参照)。

例えば、元利均等返済で五年後に一〇〇万円を繰り上げ返済すると、期間短縮型での利息軽減効果は約一四五万円、一〇年後でも約一一二万円と繰り上げ返済額一〇〇万円を上回るメリットがある。

三〇年後の繰り上げ返済では一入万円で、効果はゼロではないものの、やはり早く返せば返すほどいいということがはっきりする。

元利均等、元金均等のいずれのタイプをとっても同じことがいえる。

それならば、できるだけ早い時期に繰り上げ返済を行って、ローンの負担を軽くするほうが得だと誰しも考える。

しかし、私の考えは正反対だ。

「繰り上げ返済をしてはいけない」となる。

繰り上げ返済は軽減効果があるといっても、それはあくまでも計算上の話。

資金によほど余裕のある世帯なら別だが、繰り上げ返済をした世帯すべてがハッピーになるわけではないからだ。

繰り上げ返済をするために貯蓄に励んで、一〇〇万円を貯めては返済に回す。

そのたびに蓄えは底をつくが、またせっせと貯蓄する。

これでローン返済はどんどん楽になる。

しかし、実際には突発的な出費を迫られることもある。

それがかなりまとまったお金だとどうなるか。

貯蓄が少なければ、借金をするしかなくなる。

いったい、何のための繰り上げ返済か、ということになる。

ご存じの方も多いと思うが、家計の三大支出に「教育資金」「住宅資金」「老後資金」の三つがある。

教育資金は子ども一人を大学まで出すのに約一〇〇〇万円は必要だ。

住宅資金は五〇〇〇万円だ。

内訳は三〇〇〇万円のローンとその金利分、住宅メンテナンス資金だが、東京などではもっと費用が膨らむ。

老後資金は、都会でゆとりある生活を楽しみ、長生きするとすれば、年金分を差し引いて三〇〇〇万円は必要だ。

子どもが二人いれば、三大支出は、実に一億円になる。

退職金や賃金上昇といっても、実際にどれほどの期待が持てるのか。

やはり、家計のキャッシュフローから捻り出すしかない。

繰り上げ返済をして、定年までにローンを完済するプランを立てようなどと考えているのであれば、それは甘い見通しといわざるをえない。

目下の住宅ローン金利は三%前後と低い水準なのだから、せっせと繰り上げ返済をするよりは、その分を将来のための貯蓄に回すほうがいい。

蓄えの一部をローン金利よりも高い利回りの金融商品で運用すれば、繰り上げ返済をする以上のメリットを得られるに違いない